テレビCMの素材搬入基準。スムーズな出稿につなげるには
テレビCMを出稿する際は、制作したCM素材を放送局に搬入する必要があります。
搬入する素材の形式や素材名には一定の基準が定められているため、事前に各放送局の搬入基準を確認しておくことが欠かせません。
この記事では、広告会社や企業の広告宣伝部門の担当者に向けて、テレビCMを放送するまでの流れ、CM素材の搬入基準、注意点について解説します。
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テレビCMを放送するまでの流れ
テレビCMを放送するには、放送局による考査に通過する必要があります。
テレビCMを放送するまでの流れ
流れ |
概要 |
1.CM考査 |
広告主の業態とCMの表現について、日本民間放送連盟の放送基準や関連法令などを遵守しているか放送局が審査を行う |
2.CM素材の制作 |
放送するCM素材を制作する |
3.搬入 |
放送するCM枠の契約を締結して、放送局のフォーマットに沿ってCM素材を搬入する |
4.放送 |
放送局によってCM素材のチェックが行われ、契約したCM枠で放送が行われる |
企業の信用性やCMの表現について問題があると判断された場合には、考査に通過できない可能性があります。考査に通過したあとに、放送局との間でCM枠や料金について交渉を行い、契約に至る流れとなります。
なお、テレビCMの考査についてはこちらの記事で詳しく解説しています。併せてご確認ください。
テレビCMの素材搬入基準
制作したCM素材は、放送局が指定するフォーマットに沿って搬入します。
①映像記録方式
テレビCMの映像は、HDによる素材での搬入が必要です。HDは“高精細ビデオ”を指しており、解像度は1280×720ピクセルとなります。
映像記録方式
標準アスペクト比 |
デジタル記録方式 |
16:9 |
1080i |
標準アスペクト比とは、映像の縦・横サイズを表した比率を指します。従来のアナログ放送では、アスペクト比が4:3でしたが、地上波デジタル放送への移行によって16:9が標準となっています。
また、1080iの“i”は、走査方式に飛び出し走査が採用された映像規格のことです。
搬入可能な媒体やフォーマットについては各放送局によって異なるため、事前に確認しておくことが重要です。
②音声記録方式
音声記録方式には、以下の3種類があります。
音声記録方式の種類
種類 |
音声の記録方法 |
ステレオ |
チャンネル1・2を使用して音声を記録する |
モノラル |
チャンネル1・2の両方に同じ音声を記録する |
5.1+S(※)
|
チャンネル1~6に5.1音声、チャンネル7・8にステレオ音声を記録する |
上記のほかにも、以下の基準が定められています。
音声記録に関する基準
- CM素材の開始点から最小限0.5秒間、終了点前から最小限0.5秒間は無音声にする
- 平均ラウドネス値が-24.0LKFSになるようにする
- 音声装置に付加装置が必要とするものは搬入できない
ラウドネス値とは、視聴者が感じる音量を示した数値です。テレビCMと番組間の音量差が大きくならないように標準値が定められています。
※5.1音声の取り扱いは、各放送局によって異なります。
③素材名の作成基準
CM素材を搬入する際は、どの広告主のCM素材かを判別できるように、以下の媒体・データについて同一の素材名をつける必要があります。
CMの素材名を記載する媒体・データ
- CM素材交換メタデータ
- テレビ番組のCM連絡表またはスポットCMのスケジュール表
- 素材内のクレジット
- 搬入媒体のケース用カード・シール
- CM記録票
- スポットEDIの伝送情報 など
また、素材名の文字数や使用する文字については一定のルールがあります。
素材名の作成基準
- 全角30文字以内(スペースを含む)
- 原則、商品名を始めに記載する
- JIS-X0208で定められる全角文字のみを使用する
英字を除くラテン文字やローマ文字、丸囲み文字などは、素材名に含めることはできません。
④10桁のCMコード
CM素材には、10桁のCMコードを付与する必要があります。CM素材の制作や搬入、放送確認など、放送までのさまざまな場面で使用されます。
10桁のCMコードは、共通コード管理センターが発番した広告事業者を特定する4桁のナンバーと、広告事業者が独自につけた6桁のナンバーで構成されています。
【例】10桁のCMコード
10桁のCMコード |
例 |
広告事業者コード |
9AB8 |
素材コード |
CDE765 |
表記方法 |
9AB8=CDE765 |
また、10桁のCMコードは、1つのCM素材について1コードを付与する必要があり、重複は認められません。
さらに、広告事業者が独自につける素材コードは、大文字・半角英数字で表記する必要があり、I(アイ)・O(オー)・ハイフン、空白は使用できない決まりとなっています。
テレビCMの素材を搬入する際の注意点
テレビCMの素材を搬入する際には、放送局が定める納品方法や締切日について注意が必要です。
指定の納品方法で搬入する
CM素材の納品方法には、XDCAMとオンライン搬入の2つがあります。
CM素材の納品方法
納品方法 |
概要 |
XDCAM |
映像・音声を記録する放送機器向けの光ディスクで放送局に郵送する |
オンライン搬入 |
CM素材のデータを放送局の専用システムにアップデートする |
物理的な媒体となるXDCAMでは、1つのCMに対して1媒体を放送局に搬入します。
オンライン搬入の場合には、1つのCMに対してCM素材ファイル・CM素材交換メタデータ・ハッシュ値などをセットにして納品します。
なお、現在はオンライン搬入が一般的となっています。
搬入には締切日がある
CM素材を搬入する締切日は、放送日を含まない4日前までとされていることが一般的です。
土曜・日曜・祝日を挟む場合には、その日数分について締切日を繰り上げる必要があるほか、年末年始やゴールデンウイークの取り扱いは各放送局によって異なるため、事前に確認しておく必要があります。
特に物理的な媒体で搬入する際には、放送局への郵送期間に余裕を持って納品することが重要です。
まとめ
この記事では、CM素材の搬入基準について以下の内容を解説しました。
- テレビCMを放送するまでの流れ
- テレビCMの素材搬入基準
- テレビCMの素材を搬入する際の注意点
CM素材を制作したあとは、放送局が定めるフォーマットに沿って搬入する必要があります。映像・音声の記録方式や素材名の入れ方、10桁のCMコードなどに一定の基準が設けられているため、事前に確認しておくことがポイントです。
また、放送局によってCM素材の納品方法や締切日のルールなどが異なることにも注意が必要です。スムーズにテレビCMの考査依頼や搬入を進めるには、外部のサポートを受けることも有効といえます。
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