テレビCMの考査とは。放送局でチェックされる5つの項目
テレビCMの出稿には、広告主の業態やCM素材の表現・表示に関するさまざまな規制が設けられています。各放送局によって行われる考査に通過することで、テレビCMを放映できるようになります。
広告会社や企業の広告宣伝担当者のなかには「テレビCMの考査では何が行われるのか」「具体的にどのような項目をチェックされるのか」など気になる方もいるのではないでしょうか。
この記事では、テレビCMの考査で行われることや各放送局でチェックされる項目について解説します。
なお、CM素材の搬入基準についてはこちらの記事をご確認ください。
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テレビCMの考査とは
テレビCMの考査とは、広告主の業態やCMの表現などが日本民間放送連盟(以下、民放連)の放送基準を満たしているか審査することです。一般消費者の利益を保護して不正な取引を防ぐために、主に2つの内容について考査が行われます。
テレビCM考査の内容
業態考査 |
CM表現考査 |
広告主の信用性や事業活動の健全性などを確認する |
CMの内容・表現が各種法令や放送基準などに反していないか確認する |
テレビCMを出稿する際には、業態考査とCM表現考査に必要な書類を放送局へ提出する必要があります。考査にかかる期間については、業態考査が2週間~3ヶ月程度、CM表現考査が約1週間~1ヶ月とされています。
業態考査とCM表現考査に必要な提出書類
考査の内容 |
提出書類 |
業態考査 |
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CM表現考査 |
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業態考査でチェックされる2つの項目
業態考査では、企業の信用性をはじめ、企業の業種・事業内容・商材などがCMの放映に相応しいかどうか審査が行われます。
➀企業の信用性があるか
業種や事業内容、経営の健全性などを踏まえて企業の信用性が審査されます。
経営の実態が明らかでない企業やコンプライアンス違反が発生している企業などは、業態考査を通過できない可能性があります。
企業の信用性に問題がある判断される例
- 権利関係や取引の実態が不明確な企業
- 営業停止の行政処分や消費者からのクレームを受けている企業
- 許可・認可を要する業種で、許可・認可のない企業 など
②CMの放映に相応しい事業・商材か
民放連では、テレビCMの責任として“視聴者に利益をもたらすものでなければならない”と規定されています。
一般消費者に不利益が及ぶ可能性のある業種・商材や、児童・青少年に好ましくない影響を与えかねない内容については、放映に相応しくないと判断されます。
CMとして取り扱いを認められない事業・商材の例
- マルチ商法やキャッチセールス、催眠商法
- 風紀上好ましくない商品・サービス
- 広告の関連法令に触れるおそれがある医薬品・化粧品・健康食品
- 係争中の事案があり、視聴者に迷惑を及ぼすおそれがあるもの
- 探偵業や興信所などの私的な秘密事項の調査を行う事業
- 占い、心霊術、骨相・手相・人相の鑑定など、科学の否定や科学的根拠が確認できないもの など
CM表現考査でチェックされる3つの項目
CM表現考査では、テレビCMの表現について民放連の放送基準や関連法令、業界の自主基準などと照らし合わせて問題がないか審査されます。法令に接触する内容や視聴者に誤解を招く表現は、CMの放映が認められません。
①放送基準に反していないか
民放連の放送基準では、CMの表現に関する取り扱いが規定されています。視聴者の利益に関わる内容のほか、文化や風習、感情などに配慮が必要な内容については、CMの表現に注意が必要です。
民放連の放送基準におけるCM表現に関する規定の例
- 人種・民族・性・職業・境遇・信条などによって差別的な扱いをしないこと
- 商材について事実と異なる虚偽・誇張の表示をしないこと
- 医薬品・化粧品の効能効果について、法令で認められた範囲を超えた表現をしないこと
- 社会の秩序やよい風俗・習慣などを乱す言動を肯定的に取り扱わないこと
- 係争中の問題に関する一方的な主張や通信・通知をしないこと
- 視聴者に不快感・嫌悪感を与える表現を避けること
- 児童の射幸心や購買欲を過度にそそらないこと など
②各種法令に抵触していないか
CMの表現は、各種法令で定められた規定を遵守することが求められます。
事実を誇張して視聴者に過大評価をさせるような表現や事実に反する内容を発信することは法令によって禁止されています。
CM表現考査でチェックされる主な法令
- 不当景品類及び不当表示防止法(景品表示法)
- 医薬品医療機器等法(薬機法)
- 健康増進法
- 食品表示法
- 特定商取引法
- 宅地建物取引業法
- 貸金業法
- 公職選挙法
- 職業安定法
- 銀行法
- 割賦販売法 など
③業界の自主基準に反していないか
法令による規制のほかにも、広告主の業界ごとにCMの表現について定められた自主基準があります。
代表的な業界の自主基準
業界 |
自主基準 |
団体 |
自動車 |
自動車の取引について、事業間の公正な競争を確保する公正競争規約が定められている |
自動車公正取引協議会 |
医薬品 |
医薬品の誤用や安易な使用を促さないように、医薬品広告の適正化を図るための審査が行われる |
日本OTC医薬品協会 広告審査会 |
化粧品 |
消費者に対する適正な情報提供が行われるように、『化粧品等の適正広告ガイドライン』に基づく審査が行われる |
日本化粧品工業連合会 |
貸金業 |
安易な借り入れの助長や利益に関する誤解を招く表現・表示について審査が行われる |
日本貸金業協会 |
酒類 |
法令に逸脱する飲酒や飲酒による健康問題などに関する表現・表示について規定が定められている |
飲酒に関する連絡協議会 |
まとめ
この記事では、テレビCMの考査について以下の内容を解説しました。
- CM考査の内容
- 業態考査とCM表現考査でチェックされる項目
各放送局によって実施されるテレビCMの考査では、企業の業態とCMの表現について放送基準や関連法令などに適合しているか審査が行われます。
企業としての信用性・健全性が疑われる場合や、取り扱う商材についてCMに相応しくないと判断される場合、視聴者に誤解または不利益を与える表現と見なされる場合には、考査に通過できない可能性があります。
テレビCMの考査を依頼する際は、事前に民放連の放送基準や各種法令、業界の自主基準などを確認しておくことが重要です。
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