TVCM DATA Analysis

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TVCM DATA Analysis「番組連動CMの視聴質を可視化する」

  2021年の日本の広告市場は、下半期にかけて、新型コロナウイルス感染症の影響が緩和し、広告市場全体がおおきく回復した結果、通年で2けた増の6兆7,998億円(前年比110.4%)となりました。
 媒体別では、テレビメディア広告費が好調に推移して、1兆8,393億円(前年比111.1%)に。また、コロナ禍の2020年も増加していたインターネット広告費は、2021年に入って成長がさらに加速し、2兆7,052億円(前年比121.4%)と、大きく伸長しました(※)。
 広告種別ごとにインターネット広告媒体費をみると、特に成長がいちじるしいのは動画広告で、前年比132.8%の5,128億円(※)と大幅に増加しました。これは、コロナ禍の巣ごもり消費によってもたらされたライフスタイルの変化により、インターネット経由で動画を視聴する機会が増えていることが大きな要因です。

 そうしたなか、民放公式の無料動画配信サービス「TVer」も再生数が増えています。インターネット動画視聴の増加が後押ししていることにくわえ、テレビをインターネットに接続する世帯が増えていることも要因のひとつと考えられます。
 「TVer」の動画広告費が集計対象に含まれる「テレビメディア関連動画広告」は、2021年通期で249億円(前年比146.5%)(※)と大きく拡大し、インターネット広告費のなかでももっとも高い伸び率となりました。
 日本人の視聴スタイルが変化していっても、日本の文化や価値観に根差したテレビ局のコンテンツはおおくの視聴者から支持されています。それが、「テレビメディア関連動画広告」の高い成長率の基盤になっています。

 近年、こうしたテレビ局のコンテンツ制作力を活かし、広告主や広告会社とともにCMを制作する機会が増えてきました。
 今回のレポートでは、そのような「番組連動CM」にフォーカスします。テレビ局のコンテンツとコラボレーションした連動CMは、通常のCMとくらべてどのような視聴のされ方をしているのでしょうか?人体認識センサーをもちいた測定データによる分析結果をレポートいたします。

 ※ 出典:電通「2021年日本の広告費」https://www.dentsu.co.jp/knowledge/ad_cost/2021/




INDEX[非表示]

  1. 1. テレビ局が提供する広告フォーマット
  2. 2. 番組連動CMの特徴
  3. 3. 視聴質の定義
  4. 4. 番組連動CMの視聴質分析結果
    1. 4-1. 「一番搾り×IPPONグランプリ」
    2. 4-2. 「TORQUE 5G × 逃走中」
    3. 4-3. 「NISSAN AURA × やんごとなき一族」
  5. 5. まとめ
    1. TVCM DATA Analysisレポートまとめ



1. テレビ局が提供する広告フォーマット

 

 はじめに、テレビ局が提供している広告フォーマットをご紹介します。

 下の表は、視聴者に広告を届ける際に使用する伝送路および、広告の形態にあわせて、テレビ局の広告フォーマットを整理したものです。上が地上波放送の領域、下がデジタルの領域です。そして左側にあるのが純広、つまり、広告主が制作した広告素材を、テレビ局が放送もしくは配信する形態の広告フォーマットです。右側には番組と融合した領域があります。





 テレビ局が提供する広告フォーマットのなかで、もっとも大きいウェイトを占めるのは純広です。純広というと、タイムCMとスポットCMが一般的ですが、2020年に販売を開始したSmart Ad Sales(※)という新しい広告メニューもあります。

※テレビCMの種類についてくわしくはコチラ

 デジタル側には、民放公式の無料動画配信サービス「TVer」のインストリーム広告のほか、フジテレビの番組公式サイトに掲載するバナー広告や、「FNNプライムオンライン」の記事広告など、各種オウンドメディアの広告メニューがあります。

 一方、右側は番組です。
 「ブランデッドコンテンツ」というのは、おもに一社提供番組やミニ番組のことで、特定の広告主1社が番組提供社となり、番組の世界観やトーン&マナーについて一緒にお話しをしながら作り上げていくものです。
 「提供表示」は、番組のはじまりや終わりに、広告主の社名、もしくは商品名のロゴを表示します。提供秒数によっては、社名や商品名、キャッチコピーなどの読み上げもおこなっています。
 そして、スポーツイベントと連動したスポーツスポンサードもこの領域に含まれます。
 デジタル領域では、昨今のインターネット動画視聴の増加にともない、「TVer」で配信される15分~30分程度のブランデッドコンテンツも登場しました。

 純広と番組の真ん中に位置するのが番組連動CMやインフォマーシャルです。これは、テレビ局が広告主、広告会社とともにCMを制作する広告フォーマットです。
 
して、本レポートの分析対象となるのは、この番組連動CMです。




2. 番組連動CMの特徴


 番組連動CMは、番組本編とおなじシチュエーションや設定、スタジオセットなど使用してつくられます。番組とおなじタレントや俳優、芸人が出演することも特徴のひとつです。また、番組をつくっているスタッフがそのままCM制作にも携わるため、広告効果を左右するCMクリエイティブの面でも、番組と一体感のある演出が実現できます。

 番組連動CMのメリットは、CMへの切り替わりがシームレスになることでCM移行時の視聴離脱率が低くなりやすいことや、番組の世界観に沿った自然な訴求をおこなうことで、高い広告受容度が期待できることなど、です。

 今回のレポートでは、番組連動CMがもつこれらの特徴が、実際のCM視聴に対してどのような影響をもたらしているのか、人体認識センサーによる視聴測定データをもちいて分析をすることにいたしました。




3. 視聴質の定義

 今回、番組連動CMの視聴態度を可視化するにあたり、TVISION INSIGHTS株式会社(※1)の測定データをもちいた分析をおこないました。TVISION INSIGHTSの視聴質データは、VIとAI、2つの指標のかけあわせであらわされます。

 VIは、ビューアビリティインデックスの略で、テレビの前にどれくらい人が滞在しているのか、その度合いを示しています。
 AIは、アテンションインデックスの略で、テレビの画面に人の顔がどれくらい向けられているのかを示しています(※2)。

 このVIとAIという2つの指標をかけあわせることで、どのシーンのどのCMに視聴者の注目が集まっていたのかが分かります。

※1 TVISION INSIGHTS株式会社 企業情報

※2 視聴質データについて(TVISION INSIGHTSウェブサイト)




4. 番組連動CMの視聴質分析結果

 今回分析をおこなったのは、フジテレビで実際に放送された3つの事例です。

  はじめに、2021年12月に放送された、キリンホールディングス株式会社様の「一番搾り×IPPONグランプリ」の事例を紹介します。
 つぎに2022年1月に放送された、京セラ株式会社様の「TORQUE 5G × 逃走中」の事例。
 さいごに紹介するのは、2022年4月に放送された、日産自動車株式会社様の「NISSAN AURA × やんごとなき一族」です。




4-1. 「一番搾り×IPPONグランプリ」

 それでは実際にひとつずつ分析結果をみていきます。

  最初は、2021年12月に放送した、キリンホールディングス株式会社様の事例です。

 このCMで訴求した商材は「一番搾り」。
 CM撮影は「IPPONグランプリ」のスタジオと楽屋とでおこなわれました。CM内容は、IPPONグランプリに初めて出場した出演者が、初出場の感想を語ったあとに「一番搾り」を飲むというものです。
 さらに、本編で「お題」を読み上げている特徴的なナレーションをCMでも採用することで、番組との一体感を生みだしました。
 CMの送出タイミングは、番組本編がおわり、エンドロールが流れたあとに設定。番組の構成とCMの内容がうまくつながっていくことで、強い連動感を実現しました。

 結果、「一番搾り×IPPONグランプリ」の視聴質スコアは、IPPONグランプリ内で放送されたすべてのCM(※)の平均値を8%上回りました。

(※)分析結果に公正を期すため、同一ポジション(すべてのCMチャンスの一番目)のCMを対象




4-2. 「TORQUE 5G × 逃走中」

 つづいて、紹介するのは2022年1月に放送した、京セラ株式会社様の事例です。コラボレーションした番組は「逃走中」です。

 CM冒頭には、「逃走中」の象徴的なキャラクターである「ハンター」が登場。番組特有のドキドキ感をそのままに、「タフなスマホTORQUE 5Gのハードな耐久性を証明せよ」というミッションをあたえられた「逃走者」が、せまりくる「ハンター」からの逃走をこころみます。
 その途中、「TORQUE 5G」を落下させてしまったり、水に濡らしてしまうなどのトラブルに見舞われたりしますが、それでもそのまま「TORQUE 5G」が操作可能であることを紹介し、商品特性である「タフさ」を自然に訴求しました。
 さらに、連動CM放映記念として豪華賞品のプレゼントキャンペーンを実施することで、視聴者の興味関心を集めました。

 結果、「TORQUE 5G × 逃走中」の視聴質スコアは、「逃走中」内で放送されたすべてのCM(※)の平均値を12%上回りました。

(※)分析結果に公正を期すため、同一ポジション(すべてのCMチャンスの一番目)のCMを対象




4-3. 「NISSAN AURA × やんごとなき一族」

 最後に紹介するのは、2022年4月に放送した、日産自動車株式会社様の事例です。
 
 コラボレーションした番組は、木曜劇場「やんごとなき一族」。
「やんごとなき一族」は、庶民の家庭から上流社会の一族に嫁いだ女性の、ハッピーエンドの先にある戦いを描いたドラマ番組です。
 
 番組連動CMの冒頭は、ドラマから抜け出してきた俳優が、「NISSAN AURA」に乗りこんで気分転換のドライブにでかけるシーンからスタート。
 つづくメインシーンでは、ドラマの役柄そのままのナレーションで、「NISSAN AURA」がもつ美しい外観や上質な内装空間、パワフルで気持ちのいい走りといった、品質や機能性を自然に訴求。
 ラストシーンでは、ドラマ本編の設定に合わせたセリフを口にして、番組との連動感を高めました。

 結果、「NISSAN AURA × やんごとなき一族」の視聴質スコアは、「やんごとなき一族(4月21日放送分)」内で放送されたすべてのCM(※)の平均値を26%上回りました。

(※)分析結果に公正を期すため、同一ポジション(すべてのCMチャンスの一番目)のCMを対象




5. まとめ

 今回ご紹介した3つの事例は、それぞれ連動した番組ジャンルの違いや放送時間帯の差による視聴態度の違い、CM送出タイミングの違いなど、前提となる条件がさまざまだったため、事例ごとにリフト値の差が見られましたが、いずれの事例においても、同一番組のCM平均とくらべ、高い視聴質スコアをもつことが分かりました。
 つまり「番組連動CMは、より多くの視聴者の注目を集めることができる」ということが視聴測定データによって示されたことになります。

 私たちテレビ局は、今回ご紹介した「バラエティ」や「ドラマ」にくわえ、「映画」「音楽」などの「エンタテインメント番組」、情報インフラとして社会基盤を支える「報道番組」「情報番組」、さらには心身の健全な発展に寄与する「スポーツ」「ドキュメンタリー」「教育・教養番組」まで、視聴者の皆様の豊かな暮らしを願いながら、365日休むことなく全国の家庭にコンテンツをお届けしています。
 こうして長い時間をかけて視聴者との間で培われてきた「信頼感」や「親近感」が、老若男女、趣味嗜好を問わず、幅広い生活者からテレビ番組が支持されている理由であり、だからこそ、テレビ局のコンテンツとコラボレーションした広告も多くの視聴者に注目していただけるものと考えております。

 地上波とインターネット。番組を視聴する手段が多様化しても、テレビ局が果たす社会的役割が変わることはありません。むしろデジタル時代においてこそ、テレビ局の取材と編集に裏打ちされた信頼性の高い情報発信や、日本の文化と価値観に根差したコンテンツ制作、放送法や放送基準に準拠した安心安全な広告枠の提供など、テレビ局ならではの役割によせられる期待は大きくなっていくと考えています。
 わたしたちフジテレビは、これからもそのような社会基盤としての役割を果たせるよう、良質なコンテンツ制作に注力してまいります。同時に、さまざまなコンテンツとコラボレーションしていただける広告企画へのチャレンジをつづけてまいります。そして、生活者の心を動かし、広告主の事業成長に貢献する、そのような広告フォーマットをご提供できるよう努めてまいります。

 引き続きフジテレビをご支援くださいますようよろしくお願いいたします。最後までお読みいただき誠にありがとうございました。




TVCM DATA Analysisレポートまとめ


①テレビ局が提供する広告フォーマットは、日本社会の視聴スタイルの変化とともに多様化し、従来のテレビ領域だけではなく、デジタル領域へも拡大している。さらに近年、テレビ局のコンテンツ制作力を活かした番組連動企画が増えている。


②「視聴質」は、VIとAI、2つの指標のかけあわせであらわされる。VIはテレビの前にどれくらい人が滞在しているかの度合いを、AIはテレビ画面に人の顔がどれくらい向いているかの度合いを示す。VIとAIをかけあわせることで、どのシーンのどのCMに視聴者の注目が集まっていたのかが分かる。


③3つの事例すべてにおいて、同一番組のCM平均とくらべて「視聴質が高い」という分析結果がえられたことから、「番組連動CMは、よりおおくの視聴者の注目を集められる」ということが確認できた。 



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吉田高次
吉田高次
営業局営業推進部所属。フジテレビジョン入社後、営業局CM部、営業推進部、スポット営業部、デジタルマーケティング部(兼務)、総合メディア推進本部(兼務)等、テレビビジネスのフロント~バックエンドで実務を経験。2018年より現職。視聴者データ分析や、視聴ログ利活用研究、Smart Ad Sales推進プロジェクトのほか、番組オリジナルCMのTVer連動企画やユーチューバー動画とのコラボスポンサード等、オンオフ統合の広告商品開発にも従事。
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